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例:
被保険者 社長
契約者、保険料支払者、保険金受取人 法人
上記の保険契約をし、法人の保険料総額が1千万円、解約返戻金が500万円の
段階で、この保険を社長が500万円で法人から買い取りしました。その後、数
年が経過して、社長がこの保険を解約し、解約返戻金1千万円を受取りました。
買い取り後、社長は保険料として総額100万円支払っていました。
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このような場合、社長が受け取った解約返戻金1千万円に対する一時所得の
計算上、支払保険料となるべき金額は、いくらとなるのでしょうか。
現状では、支払保険料は、法人が負担した保険料総額1千万円と社長が負担
した保険料総額100万円の合計1100万円とされています。
なぜならば、支払いを受ける者以外の者が負担した保険料も支払保険料の計
算上含まれる(所基通34-4)と、通達上記載されているがため、この文書のま
ま解釈がなされているからです。
しかしこの通達は、支払いを受ける者以外の者が保険料を負担した場合には、
その段階で給与課税や相続税課税などがなされていると考えられた上でのもの
でした。したがってこの考えが前提であるならば、本来、事業主負担の保険料
で給与課税がなされていないものに関しては、少額であるものを除き、この支
払保険料に含まれるべきものではないのですが、法令や上記通達上、そのよう
な解釈をするには難しく、文書のままの解釈がなされ、上記のようないわゆる
“節税”としての商品が出回っていました。
そして、平成23年度税制改正大綱で、次のような改正案がだされました。
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居住者が支払を受けた生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の
計算上、その支払を受けた金額から控除することができる事業主が負担した保
険料等は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限る旨を法令に規定し
ます。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に支払われるべき生命保険契約等に
基づく一時金について適用します。
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つまり、改正後の上記の例では、支払保険料の総額に法人が負担した保険料
総額1千万円を含めることができなくなる、ということです。
平成23年4月1日以後に支払われるべき、とありますので、既存契約にも影響
が出ることになります。このような商品を購入されている場合には、ご注意く
ださい。
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