[相談]
当社法人を清算する過程において、売れ残りで棚卸資産として計上している商品を当社の従業員に販売したいと考えています。従業員の給与課税とならないようにするには、単価いくら以上で販売しないといけませんか?
棚卸資産である商品の単価は以下の通りです。
仕入値 @1万円(税抜価額) 通常一般売価 @1万5千円(税抜価額)
[回答]
所得税法の取扱を厳密に適用するのであれば、単価10,500円(税抜価額15,000円×0.7)以上で販売すれば、給与課税されないことになります。ただし、今回の場合は、清算する過程においてとあり、売れ残り製品等の社内販売という特別な事情を考慮して、原則によることなく柔軟な解釈をすべきではないかとも考えられます。
[解説]
所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には経済的利益の価額も含まれます。今回の場合の経済的利益とは、貴社が従業員に商品を無償または低い価額で提供したことにより与えられる利益のことをいいます。よって、課税されないためには、低い価額でない価額で販売すればよいということとなります。その低いかどうかの判断基準が下記となります(所基通36-23)。
<判断基準> 使用者が役員又は使用人に対し自己の取り扱う商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の値引販売をすることにより供与する経済的利益で、次の要件のいずれにも該当する値引販売により供与するものについては、課税しなくて差し支えない。
(1)値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売する価額に比し著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)でないこと。 (2)値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。 (3)値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。
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