東日本大震災では、日本国中の個人・法人はもとより、さまざまな国や地域からも支援の手があることは、みなさんご存知のことと思います。
震災発生当初より、支援物資を届けている方も多いでしょう。
その場合、気になるのは、支援物資に関する税の取扱いです。
特に、事業をされている法人・個人では、この支援物資に関する税の取扱いはどうなるのか、非常に気になるところではないでしょうか。
法人に関する税の取扱いは、ずっと以前に公表されているため、ご存知の方も多いと思います。
たとえば、法人の自社製品等を支援物資として避難所へ寄附した場合の税の取扱いは、寄附金にも交際費等にも該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入します。(法基通9−4−6の4)
それでは、個人事業者が棚卸資産を支援物資として避難所へ寄附した場合はどうでしょうか。
このことについて、ようやく4月27日に国税庁HP上で公表されました。
「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)」 これによれば、個人事業者が棚卸資産を被災者へ無償提供(寄附)した場合には、その棚卸資産の時価相当額を事業所得の収入として計上する、とあります。
つまり、次の仕訳で処理をすることになります。(時価相当額が100万円の場合)
店主貸 100万円 / 売上 100万円
もし、寄附先が寄附金控除対象となる国、地方公共団体等である場合には、事業所得の計算上は、上記仕訳を行いつつ、その時価相当額が寄附金控除の対象となります。この場合には、寄附したことが分かる証明書が必要となりますので、ご注意ください。
なお、上記売上は、消費税の取扱いは、「不課税取引」となります。これは、先に公表されている「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ(平成23年4月国税庁)」に取扱いが示されていますので、こちらも合わせて確認しておきましょう。
参考:国税庁HP「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)」 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/110427/01.htm
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