[相談]
取締役が退職する際に、役員退職金を分割払いで支払いたいと考えています。 分割払いの役員退職金の損金算入の時期や、源泉徴収の仕方について、留意点を教えてください。
[回答]
■損金算入の時期
役員退職金の損金算入の時期は、原則、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。ただし、役員退職金を支払った日の属する事業年度に、その支払った額について損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度の損金算入が認められます(法基通9-2-28)。
したがって、分割払いの役員退職金の損金算入の時期は次のいずれかとなります。
・株主総会の決議等により役員退職金の額を確定した事業年度に全額損金算入 ・役員退職金を支払った事業年度に支払った額を損金経理し、支払った事業年度で損金算入
■源泉徴収の仕方
支給総額が確定している退職金を分割して支払う場合の源泉徴収税額は、その支給総額に対する税額を各回の支払額に按分して計算することになります(所基通201-3,183〜193共-1)。
(例)勤続10年で退職した役員の退職金総額が500万円と確定し、1回目は300万円、2回目は200万円と分割して支払う場合
1.退職金総額500万円についての源泉徴収税額を計算 (500万円−400万円)×1/2×5%(復興特別所得税適用前※)=25,000円
2.1回目(300万円)支払時の源泉徴収税額 25,000円×300万円/500万円=15.000円
3.2回目(200万円)支払時の源泉徴収税額 25,000円×200万円/500万円=10,000円
なお、退職所得の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとされています(所基通36-10)。
(※)復興特別所得税適用中(平成25年1月1日〜平成49年12月31日)は、通常の所得税率に2.1%の復興特別所得税を上乗せして源泉所得税額を計算します。ご注意ください。
■注意点
役員退職金を分割払いする場合、役員退職年金と認定される場合がございますので、議事録において、退職金の分割払いである旨を決議しておかれた方がよいと考えます。
役員退職年金と認められた場合には、法人側では、その年金を支給すべき時の損金の額に算入され、退職金受給者側では退職所得ではなく、雑所得となります。
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